まめ知識

葬儀に関するまめ知識

#01お悔みの言葉

お悔やみは忌み言葉を避けて

お悔やみを述べる時に注意することとして、忌み言葉があります。
不幸の重複を連想させるような、「重ねて」「再び」「返す返すも」「たびたび」「追って」などです。また、「冥福(めいふく)」「成仏(じょうぶつ)」「回向(えこう)」「供養(くよう)」「追善(ついぜん)」などは仏式で使われる言葉ですから、神式やキリスト教式では避けます。
ただし、意識しすぎると話しにくくなりますからできるだけ使わないように心がける程度でよいでしょう。 お悔やみは、故人を惜しみ、遺族と悲しみを分かち合うような気持で、言葉少なくと言うのが心得です。
「ご愁傷さまでございます」「残念なことをいたしました」「お慰めの言葉もございません」「さぞお力落としでございましょう」などです。

#02弔辞の言葉

弔辞に使われる言葉

弔辞には決まり文句のようなものがあり、それを適宣(てきぎ)挿入(そうにゅう)しながら調子をととのえるもひつつの方法です。
例えば締めくくりに、「どうか安らかにお眠り下さい」「ご遺志を継ぐことをご霊前にお誓い申し上げます」などです。
そのほか、「ご冥福をお祈り致します」はよく使われますが、本来は仏式の用語です。またキリスト教の場合は、神のもとへ召される祝福のときと考えますから、いたずらに嘆き悲しむ言葉を連ねるのは適切とはいえません。
そのほか、病死の場合でも、病名や死因など、公表された以外のことについては触れないようにします。また、事故死や殉職などでは、具体的に状況説明をしたり、原因追及をしたりなど、微妙な問題には言及しないことも要点です。
いずれにしても、遺族の気持ちを配慮し、慰めの言葉を必ず入れます。

#03弔辞例文(職場代表)

<職場代表>

(職場関係はい、故人の人柄の側面に触れながら、仕事に対する姿勢や功績などをおり込んで語る。また遺族に対して、力添えを約束する言葉を入れることもある。)

○○○○君のご霊前に、謹んで申し上げます。
×月×日、君は、十か月にわたる闘病空しく、三十九歳の若さで逝去されました。
今年の初め、君から深刻な病気に罹(かか)っていると告げられたときは、なにかの間違いだろうと思いました。しかしその後、病状は快方に向かうことなく、本当に、文字通りあっという間に亡くなられました。 残された私たちは、驚きと悲しみの前に、ただ呆然(ほうぜん)と立ち尽くすのみです。
同期で入社し、この十数年間、よき相談相手として信頼を寄せていた君に、いったい何を言えばよいのでしょうか。「不惑(ふわく)ともなれば、その日から自分を取り巻く風景が変わるような気がする」と、冗談のように話したのは、つい最近のことのような気がします。また、「シングルモルトではないが、もっと精神面の熟成をはからなくては」と、ユーモアを交えながらも、いつも厳しく自分自身を見つめていました。 そんな君であるからこそ、会社にとってもかけがえのない人材として期待され、次々に重要な仕事を任されたのです。 会社の君に机には、君の職場復帰を願って、この数か月間、ずっと絵馬が飾られていました。
いまは、その絵馬とともに、君がよく釣りにいっていた三浦半島の石(つわ)蕗(ぶき)の花が飾られています。 君の訃報に接して、だれかがわざわざ詰みに行ってきたのでしょう。 あのつややかな葉、太い茎に支えられた黄色い花を見ると、趣味に遊ぶときの君の引き締まった顔が目に浮かんできます。
闘病中、君がなによりも心配していた新企画の事業計画を、これからは私たちが引き継ぎ、必ず成功に導きますから、どうか安心して見守っていてください。 君は、奥様と中学生のご長女、小学生のご長男を残して旅立たれましたが、ご家族との別れは、どんなに無念であったろうかと思います。
そのご家族を、生前と同様、愛情に満ちた眼差しで見守っていてください。 私たちも、できる限りお力添えをしてまいりますから。
○○君、どうか安らかに眠ってください。 心からご冥福をお祈りして、お別れの言葉と致します。
※三省堂 冠婚葬祭辞典より

#04弔辞例文(教え子代表)

<教え子代表>

(恩師の場合は、その専門分野などから課題を選び、具体的な場面を入れて話を展開していくのもよい。 特別に影響されたような事柄があれば、それも言い添える。)

○○先生、本日ここに、A高等学校の教え子を代表して、お別れのご挨拶を申し上げます。
先生は、私たちの先生であると同時に、私達の先輩でもありました。 A高校の二十年先輩にあたる卒業生であることを知ってから、私たちは先生に対してとりわけ深い親近感を抱くようになりました。
先生は漢文を教えておられましたが、お生まれがお寺でしかもご長男ということから、お父上の後を継がれて僧籍にあり、××寺のご住職というのが本業でした。 したがって、当時学校のほうは、非常勤という形でお勤めになっておられました。 いま思い返してみますと、そうした事情が、先生と私たち十代半ばの生徒の間を、かえって近づけていたのだと思います。
一言でいえば、先生は、いわゆる教師らしくない教師でした。 教訓めいたお話をされることはなく、高圧的な姿勢をとられることもありませんでした。 私達が先生のどこにひかれたかといえば、先生の悠々たる存在そのものでした。
抑楊も抑えて淡々と、しかし、気持ちのこもった漢文や漢詩の朗読、ご自身がその中に遊んでおられるような陶然とした表情、いまもそのお声やお顔がよみがえってくるようです。 不詳の私は、大学で中国文学を専攻しようか国文学に進もうかと迷った結果、結局国文学のほうを選びました。
しかし、先生から与えられた文学的影響ははかり知れないものがあり、それが私の進路を定めました。 高校二年の春、伊豆大島へ遠足に行った折、椿(つばき)の花の連なる道を春風(しゅんぷう)駘蕩(たいとう)という言葉を絵にかいたようなお姿で歩まれていた様子が忘れられません。また、卒業間近に有名なお寺へ級友と共にお邪魔して高雅(こうが)なお抹茶とお菓子を、泉水(せんすい)の見える方丈でいただいたこともありました。 先生はその時、「高校の三年間なんて短いなぁ」と、なぜか嘆息するようにおっしゃいました。
先生と過ごした日々の懐かしい思い出は、私たちの大切な財産として残ったいます。
○○先生、享年 ××歳という少し早すぎる旅立ちに、心からご冥福をお祈り申し上げます。
※三省堂 冠婚葬祭辞典より

#05弔辞例文(友人代表)

<友人代表>

(友人の場合、代表で読むという立場をわきまえ、あまりに個人的な話題に傾かないようにする。故人との交友のなかから、印象深いエピソードを中心にまとめる。)

○○君、君の突然の訃報(ふほう)に接して、私は自分の耳を疑わずにはいられませんでした。
今年春には、××公園で、花見を兼ねたクラス会を開いたばかりではありませんか。今日ここに集まった、いつものメンバー全員が、信じられない気持でいっぱいです。
○○君、呼んでも返事があるはずないとわかっていても、やはり呼びかけずにはいられません。 △△歳という、まだまだこれからという年齢で、しかも不慮の事故によって.この世を去るとは、どんなに心残りのことでしょう。
一寸先は闇、無上の風は時を選ばずとは、こうしたことをいうのでしょうか。ことに、突然最愛の一人息子を亡くされたご両親様には、お慰めの言葉もなく、ただ痛ましさを覚えるのみです。 君が、大学の理工学部を卒業し、希望通り研究員として就職、将来を嘱望されて商品開発に取り組んでいる話などを耳にするにつけ、順調に人生の階段を上っていく様子を、喜びつつも羨ましく思ったものでした。
そして、今年の花見の時は、そろそろ結婚を考えていることなども語っていました。 君はお酒が入ると朗らかになり、冗談を言っては周囲を楽しませてくれましたが、その時の表情は妙に真剣で、意中の人がいるのだろうかとも思いました。そのうち、朗報が入るのではないかと期待していましたのに、代わりに届いたのが不法になろうとは・・・。 しかし、こんな事を言うのは不謹慎かもしれませんが、今日、ご両親様をはじめ多くの方々のほかに、もう一人のどなたかが悲しんでいなければよいがと、そのことがなぜか気にかかって仕方がないのです。
最後になりましたが、君は最近ドナーカードを持つようになり、臓器提供の意思を明らかにしていたと伺いました。 状況が許さず、遺志にそうことができなかったとのお話ですが、今回の事故を予見していたようにも感じられ、いっそう悲しみがつのります。
○○君、喜美の事は いつまでも忘れることはありません。
どうか安らかに眠ってくださいとだけ申し上げ、お別れの言葉に代えさせていただきます。
※三省堂 冠婚葬祭辞典より

#06弔辞例文(友人代表2)

<友人代表2>

(生前の交友の思い出や人柄にふれるとともに、遺族を慰める言葉もおり込む。感情的になりすぎないように、むしろ淡々とした調子で読むほうが訴えるものがある。)

故○○○○さんのご葬儀に際しまして、友人を代表し、ひとことお別れの言葉を申し上げます。
○○さん、あなたとの出会いは女学院の中学の入学式、それかた高校までの六年間をご一緒し、卒業して三十三年がたちました。 あなたとは長年にわたるおつきあいをさせていただき、「ついに五十代ね」と、二人の間に流れた年月を思い起こして、いろいろお話したのは、つい最近の事のような気も致します。
あなたが肺癌の告知を受けたのは一年前、そして五十歳になったばかりで闘病生活に入って一年余り、あまりに早い旅立ちといわなければなりません。人生八十年とも言われるこの時代、なんと悲しいことかと、あとに残されたご主人様、お二人のお嬢様のお気持ちをお察しいたしますと、慰めの言葉もみつかりません。
○○さん、あなたとの思い出は、いつまでも色褪(いろあ)せることはありません。中学のときにはともに新聞部に入り、それは高校まで続きました。 放課後、冬などは薄暗くなった教室で、見出しや割付に苦労したことなどが、昨日の事のようによみがえってまいります。
思えば一年前、久しぶりにあなたと二人、春まだ浅い信濃(しなの)路(じ)へ一泊旅行にまいりました。 ホテルでの楽しかった語らいも忘れられませんが、その時あなたは、私が写真を撮ろうとカメラを向けると、まぜかすぐに後ろを向いてしまい、どうしてもシャッターを押させませんでした。
それは翌朝、展望のきく公園を歩いた時も同じで、私のカメラから身を翻すようにして、被写体になることを拒まれたのでした。 どうしたのかしらと、少し不思議に思ったものですが、もしかするとあのとき、あなたはご自分の病気をすでにご存じだったのでしょうか。○○さん、あなたの優しい笑顔に二度と接することはできませんが、これからは、懐かしい思い出を胸に刻んで生きてまいります。
そして、なによりも心残りであったはずのご主人様、お二人のお嬢様を、いつも遠くから見守っていてください。
心からご冥福(めいふく)をお祈りして、お別れの言葉とさせて頂きます。
※三省堂 冠婚葬祭辞典より

#07手紙
お悔やみ(父を亡くした人へ)

お悔やみ(父を亡くした人へ)

(悲しみにくれている遺族のことを思うと、言葉を失うような気がするというのがお悔やみの基本。ともに故人を惜しみ、悲嘆を分かち合うような気持で作成する。)

ご尊父様ご逝去の報に接し、信じられないような気持で、たいへん驚いております。
かねてより入院中とはうかがっておりましたが、経過も順調とのお話に、すっかり安心していたところでございました。
ご家族の皆様のご心痛はいかばかりか拝察いたし、心よりお悔やみ申し上げます。 ことにご母堂様には、さぞご落胆のことと、お気持ちのほど、お察しするばかりです。
昨年春におうかがいした折、ご自慢のバラ園をご案内頂き、いろいろご説明いただいたことなどが懐かしく思い出され、悲しみがつのります。
本来なら即刻参上すべきところ、遠方のため、それもかないません。 まことに心苦しい限りではございますが、書中にてご冥福をお祈り申し上げます。なお、些少(さしょう)ながらご香料を同封いたしましので、ご霊前にお供えいただきたくお願い致します。
※三省堂 冠婚葬祭辞典より

#08手紙
お悔やみ(妻を亡くした人へ)

お悔やみ(妻を亡くした人へ)

(死を悲しみ、故人を悼むと同時に、残された人の心の傷や健康なども気づかう。葬儀に参列できなかった理由などは簡単に、さりげなく書き添える程度とする。)

御奥様の訃報に接し、呆然としております。
御病気の事は存じておりましたが、すぐに回復されるものと信じ、お見舞いにもうかがわずにおりましたことがくやまれます。痛恨のきわみながら、いまはただ、ご冥福をお祈りするばかりです。
可愛い盛りのお子様をのこして逝かれた、御奥様の心残りはもとより、最愛の伴侶に先立たれた貴兄を、どのようにお慰めしたらよろしいのかわかりません。あの御奥様の明るい笑顔を、二度と拝見する事ができないと思いますと、まことに悲しい限りです。
看病の疲れに加え、心労も重なっておられるころろ存じ、貴兄のことが案じられます。どうかしばらくは休養をとられ、ご供養専一にと念じております。出張中の事にて、ご葬儀にも参列できず、申し訳なく存じております。
ご霊前にお花でもお供えいただきたく、心ばかりのものを同封たしました。
※三省堂 冠婚葬祭辞典より

#09手紙
お悔やみ(子供を亡くした人へ)

お悔やみ(子供を亡くした人へ)

(子供を失った親には、どのような慰めも空しく響く。特に不慮の事故などでは、気持ちの上で準備もないため、心のこもったいたわりや励ましの言葉を選ぶ。)

ご子息様急逝の報に驚き、信じられない気持ちのまま筆をとりました。
ご両親様はどんなにお嘆きのことかと、運命の過酷さを思わずにはいられません。バイクの転倒事故とうかがっておりますが、すべてはこれからというときの突然のご早世(そうせい)に、なんとも申し上げる言葉がございません。
夢なら醒めてほしいと、無念の思いでいっぱいでございます。享年十八歳、大学入学も決まり、四月から始まる新しい生活へ希望を託しておられたことと存じますのに、ご本人にとっても、どんなに残念であったことかと胸が痛みます。
子供に先立たれるくらい深い悲しみはないといわれますが、まさにその通りの事が起こってしまうとは・・・。お力落としはいかばかりかと存じますが、ご悲嘆のあまり、お身体を損なわれませんように。
ご子息さまを偲び、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
※三省堂 冠婚葬祭辞典より

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